アイデアの落とし穴と飛び越え方
会社のプランニングを行ってきて感じたこと。
もう少し説明を加えると「論理的に舵取りをしないとアイデアは使い物にならない」ということです。ひらめきは甘美なものなので、その快感に後押しされて猪突猛進に進めても、論理や裏付けでハンドリングしないと(少なくとも共感を得られない他人にとっては)無意味なアート作品になってしまいます。
例えば、ある化粧品の新商品企画を考えていたとして、最近見た映画「もののけ姫」でサンがアシタカと初対面するシーンの、あの山犬の母の傷口から血を吸い出して、その血が顔についている美しさが脳裏に残っていて「あっ、血は美しいよね」
と、血をコンセプトに化粧品を考えたとしても、それだけで良い商品、売れる商品に結びつけるのは難しいし、博打になるのだろうなと思います。
ブラッディルージュという血のように赤い口紅(実際にあるのか知らないのですが…)やブラッディラインという赤のアイライナー(これもあるかは知りません)は、コンセプトから思い付きますが、赤い化粧が流行っているという裏付けであったり、赤をつけたいという隠れた欲求がなければ、製品化すら難しいことだと思います。
最初の鮮烈なイメージを引きずっていても、良いものを作るということには少しもプラスにならない、ということです。
最初にイメージしたものは根が深いため、一歩引いてみたり切り替えたりすることが難しいです。私もできず、失敗することが多いです。
その時におすすめしたいのが「(できればそのアイデアを利用する)人に話してみる」です。人に話すと、その人の客観的な視点で意見をいただくことができ、かつ話すことで自分の中でも整理されます。その経緯を経ることでアイデアはより深いものになります。
ただ、気を付けなければいけないことがあります。次の二点です。
・いただいた意見は素直に受けとる
・揚げ足やあら探しばかりする人には相談しない
一点目は、わざわざ相談していただいた意見なのだから、それは素直に受けとりましょう。アイデアの欠点を指摘されたとして、相手の理解が低いと憤ってはいけません。アイデアの質が低いか、自分の伝える能力が低いと思いましょう。目の前のひとりにわかってもらえなければ、ましてその他の大勢の他人に伝えることはできません。逆に言えば、目の前の人に伝わる努力をすることでよりわかりやすい、伝わりやすいアイデアになります。
二点目は、言ってしまえば「相談するセンス」だと思います。アイデアの種を完膚なきまでに叩きのめす人に相談しても、アイデアが芽を出すことはないし、時間の無駄だということがわかってきました。相談ではなく議論、批判をしてしまう人ですね。前向きな意見を言わない人や、関係がよくない人からもよいフィードバックを受けとる可能性は少ないと思います。またタイミングも重要で、忙しいときに相談しても、短時間でぱっと伝わるアイデアでなければ「つまらないね。時間がないからまた今度」となってしまいがちです。自分のアイデアをどう育てていくかを意識して相談することはまさにセンスだと思います。
アイデアについては論理的に舵取りをすること、また思い付いたら他の人に相談してみることをお伝えしてきました。
これはいわゆる「テクニック」的な側面がありますが、なにより一番大事なのは結局「アイデアへの情熱」だと思います。情熱が強ければどんな障害も越えていけます。その事例は過去、さまざまな成功談で明らかになっています。自分の感性、内なる声に耳を傾けて行動することも大事だということがわかります。
この「論理と感性」を両輪で回すことで成功の道を開いていけるのでしょう。
この本に書いてある「アイデアのつくり方」がとてもためになります。一朝一夕でひらめこうとしても無理、ということです。
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今日の教訓
アイデアは論理的に舵取りをして、それが難しい場合は誰か頼れる人に相談してみることがよい。
そのアイデアは情熱が持てるものか、自分の内なる声に耳を傾けることも重要。